※この記事は映画『リング』(1998)の内容についてラストまで完全にネタバレを含みます。まだ観ていない方はご注意ください!
日本ホラーの金字塔『リング』とは?
1998年に公開された映画『リング』は、鈴木光司の同名小説を原作に、中田秀夫監督が映画化した作品です。
「呪いのビデオを見たら7日後に死ぬ」というシンプルな設定ながら、その不気味な演出と圧倒的な恐怖感で社会現象を巻き起こしました。
詳細なあらすじは知らなくても、映画の名前や「あのキャラクター」について一度は見聞きした事があるのではないでしょうか?
“Jホラー”というジャンルを確立した本作は、今なお多くのホラー作品に影響を与え続ける金字塔です。
ネタバレありのストーリー解説(最初からラストまで)
① 呪いのビデオの噂
物語は、女子高生たちの噂話から始まります。
「呪いのビデオを見た人は、7日後に必ず死ぬ」――。
冗談のようなその話が、実際に現実となっていきます。
女子高生の友人・智子が、ビデオを見てから7日後に突然死亡。遺体は恐怖で歪んだ表情をしていました。
② ジャーナリスト玲子、呪いに迫る
主人公はテレビ局の記者・浅川玲子(松嶋菜々子)。
智子は玲子の姪で、彼女は事件の真相を調べるうちに「呪いのビデオ」の存在にたどり着きます。
玲子は智子が訪れていた伊豆の貸別荘を訪れ、自らそのビデオを再生してしまいます。
そこには意味不明な映像の断片が連なり、最後に井戸の映像が映し出されていました。
ビデオを見た直後、電話が鳴り「……7日後」という不気味な声が。
③ 元夫・竜司とともに呪いを追う
呪いの期限が迫る中、玲子は元夫で大学講師の高山竜司(真田広之)に協力を求めます。
竜司もまたビデオを見てしまい、2人は協力して呪いのルーツを探り始めます。
映像に映るヒントから、2人は「山村志津子」という超能力者の存在にたどり着きます。
志津子はかつて予知能力で騒がれた女性でしたが、世間から迫害を受け自殺していました。
④ 呪いの正体=山村貞子
志津子には“貞子”という娘がいました。貞子もまた強力な超能力を持っており、母の死後、精神が不安定になっていたといいます。
取材を続けるうちに、玲子たちは恐ろしい真実を知ります。
志津子の夫・伊熊博士と貞子の仲が悪化し、ある日博士は貞子を井戸に投げ込み、生き埋めにしたのです。貞子はそのまま井戸の底で命を落としました。
貞子の強い怨念は「呪いのビデオ」として形を取り、現代にまで影響を及ぼしていたのです。
⑤ 呪いは解けた…と思ったら
玲子と竜司は、ビデオの映像に出てきた古井戸を見つけ、貞子の遺体を引き上げます。
井戸の中で玲子の“7日目”が終わった瞬間、電話は鳴らず、彼女は助かったように見えました。
「貞子の霊は救われたのだ」と安堵する2人。
ところが――
⑥ 恐怖のラスト:呪いは終わっていなかった
竜司の“7日目”が訪れた夜。
彼の部屋のテレビが勝手につき、ノイズが走ります。
次の瞬間、テレビ画面の中から“貞子”がゆっくりと這い出してくるのです。
異様な動きで画面を抜け出した貞子は竜司に近づき……彼は恐怖の表情のまま絶命。
呪いは「貞子の遺体を見つけても解けない」。
唯一の回避法は、“自分が見たビデオを他人にコピーして見せる”こと――つまり、呪いを拡散させることだったのです。
玲子は息子を助けるため、コピーしたビデオを誰かに見せに行こうと車を走らせます。
物語はここで幕を閉じ、観る者の想像に恐怖を残したまま終わります。
ラストの意味と呪いの本質とは?
『リング』のラストが衝撃的なのは、「貞子の霊を供養すれば呪いが解ける」という“ホラー映画の常識”を覆した点です。
実際には、呪いは解けず、「他人に広める」という行為こそが唯一の生存手段でした。
つまりこの呪いは、貞子の怨念そのものが“生き延びるために自己増殖する存在”になっているということです。
被害者が生きるために他人を犠牲にせざるを得ないという構造が、映画を観終わった後もじわじわと恐怖を残します。
『リング』が恐ろしい本当の理由
『リング』の恐怖は、ただ幽霊が出てくるからではありません。
呪いが「自分の命と引き換えに、他人を巻き込まなければ助からない」という人間の本能的な罪悪感を突いてくるからです。
そして、「呪いのビデオ」はただの物語の小道具ではなく、人から人へと拡散する“恐怖”そのものの象徴とも言えます。
この構造が、後のJホラー作品とは一線を画す深みを与え、今なお語り継がれる理由でもあるのです。
まとめ:呪いは終わらない。あなたにも、いつか…
映画『リング』は、表面的な恐怖だけでなく、“呪い”という概念そのものを物語にした傑作です。
ラストで描かれる「他人に見せないと助からない」という構造は、人間の倫理と本能のせめぎ合いを突きつけてきます。
あなたがもしあのビデオテープを見てしまったら、どうしますか?
この解説を読んで興味を持ったなら、ぜひ本編を観てください。
そして、あなたのテレビにも、いつか“あの女”が……
他の『リング』シリーズも気になるけど、どれから観ればいいか分からない!という方へ

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